2019年5月15日(水)、京都大学東京オフィスにおいて、水産・海洋を事業ドメインとする新会社「株式会社オーシャンアイズ(英語名 OceanEyes Co., Ltd.)」(以下、OE)の設立発表の記者会見を行いました。
OEは京都大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者達が出資し、2019年4月1日に設立されました。画像処理や海洋物理の先端技術をベースとした最新の海洋水産AI技術(FishTech)を用いて、持続可能な水産業・海洋産業を実現することを事業理念としています。
記者会見当日は、取締役の笠原秀一(京都大学)が司会進行をつとめ、冒頭では設立の背景となった、世界の水産業・漁業界の潮流「管理漁業」の状況や、日本の漁業の現状を説明しました。そしてその解決方法としての「資源量推定」「環境データを使った操業の効率化」「環境モニタリング」などに、これまで京大やJAMSTECが培ってきた深層学習・海洋数値モデルの研究成果を用いることで、社会への還元を目指していることを説明しました。
続いて、代表取締役に就任した田中裕介(JAMSTEC)より、海況予測システム「SEAoME(しおめ)」のサービス説明ならびに今後の展望を説明しました。海洋数値モデルを使い、沿岸から外洋までのシームレスな海洋環境情報を提供する「SEAoME」は、気象庁等のデータを元に、14日先までの海況を予測することができます。既にブラウザベースで稼働中で、実際に漁業事業者さまへ試験提供しており、要望におうじて改良を行い続けています。また今後はより高解像度の解析・予測を開発予定であることも発表しました。
一方、今後展開予定のサービスとして、漁場の決定を支援する「漁場ナビ(仮称)」については、発起人であり出資者でもある飯山将晃准教授(京都大学)から説明がありました。開発は4つのフェーズに分かれており、フェーズ1では気象衛星「ひまわり」の海水表面温度データを深層学習により補完し、準リアルタイムで提供します。フェーズ2以降は海況パターンや操業データなどを使い漁場予測へと学習の幅を広げ、また「SEAoME」の技術を用いた予測データも利用できるようにするなど、漁業者が操業時に利用できる情報の種類や細かさを改善していく計画です。
会場にご来場頂きました記者の皆様からは、多くの専門的な質問を頂き、また会見後にもそれぞれの研究者へ多数のご意見・ご質問、意見交換などさせて頂くことができました。
ご来場頂きました皆様、誠にありがとうございました。
以上